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iパスは表計算ソフトの問題を出題
ITパスポート試験(iパス)はITに関する基礎的な知識の問題が出題されるのだが、その中には表計算ソフトの問題が含まれる。
表計算ソフトとはExcelやGoogleスプレッドシートなどのことだ。
基礎さえわかれば小学生でも解けるくらい簡単なのだが、逆にExcelやGoogleスプレッドシートの基礎知識がないと正解率はかなり低くなる。
この記事では過去に出題された表計算ソフトの問題についてGoogleスプレッドシートとExcelファイルのサンプル付きで解説しています。
Excelファイルは事前に以下からダウンロードしてください。
Googleスプレッドシートとは
GoogleスプレッドシートとはGoogle社が提供している表計算ソフト。
Googleアカウントがあれば誰でも利用できる。
アドレスバーにsheet.newと入力すれば直接アクセスして利用可能。
GoogleスプレッドシートとExcelで使用可能な関数はほとんど同じで、例えばSUM関数などはどちらでも使える。
表計算ソフトの問題の特徴
- 「複写」はコピー&ペーストのこと
- $記号(絶対参照)が付いたものが正解になることが多い
- 問題文および選択肢は>や+などの記号は>や+のように全角
- 難しい関数を使用した問題は出題されない
- 問題文では関数部分は例えば「SUM()」は「合計()」のように表記される
- IFSやXLOOKUPなどの古いExcelで使用不可の関数の問題は出題されない
- 「数学0点以上、英語50点以上は合格を表示」という実務ではありえない式が出題されることがある
過去問に出題された関数一覧
過去問ではこれらの関数を知らないと解答できない問題が出題されているので必ず覚えたほうが良いだろう。
IFだけはそのままIFと問題文に関数名が記載されるが、IF以外は日本語で合計()のようになっているので注意。
- 合計() => SUM()
- 平均() => AVERAGE()
- 剰余() => MOD()
- 条件付個数() => COUNTIF()
- 個数() => COUNT()
- 整数() => ROUNDDOWN()
- 論理積() => AND()
- 論理和() => OR()
これら以外の関数も今後出題される可能性はあるので、基本的な関数は一通り学習しておいたほうが良いだろう。
令和2年秋期 問71
表計算ソフトを用いて,ワークシートに示す各商品の月別売上額データを用いた計算を行う。セル E2 に式"条件付個数(B2:D2,>15000)"を入力した後,セル E3 と E4 に複写したとき,セル E4 に表示される値はどれか。
ア 0 | イ 1 | ウ 2 | エ 3 |
解説
条件付個数とはCOUNTIF関数のこと。
セル E2 に式"条件付個数(B2:D2,>15000)"を入力というのは=COUNTIF(B2:D2, ">15000")という意味。
これをE3とE4に複写(コピペ)すると=COUNTIF(B3:D3, ">15000")と=COUNTIF(B4:D4, ">15000")になる。
セルE4に表示される値は「=COUNTIF(B4:D4, ">15000")」なので…
答えは (クリックして確認)
ウ 2
令和元年秋期 問76
ある商品の月別の販売数を基に売上に関する計算を行う。セルB1に商品の単価が,セルB3~B7に各月の商品の販売数が入力されている。セルC3に計算式"B$1*合計(B$3:B3)/個数(B$3:B3)"を入力して,セルC4~C7に複写したとき,セルC5に表示される値は幾らか。
ア 6 | イ 6,000 | ウ 9,000 | エ 18,000 |
解説
計算式"B$1*合計(B$3:B3)/個数(B$3:B3)とは「=B$1 * SUM(B$3:B3) / COUNT(B$3:B3)」なのでC3の値は10,000になる。
これをC5に複写すると「=B$1 * SUM(B$3:B5) / COUNT(B$3:B5)」になるので…
答えは (クリックして確認)
イ 6,000
平成31年春期 問98
表計算ソフトを用いて,二つの科目X,Yの成績を評価して合否を判定する。それぞれの点数はワークシートのセル A2,B2 に入力する。合計点が120点以上であり,かつ,2科目とも50点以上であればセル C2 に"合格",それ以外は"不合格"と表示する。セル C2 に入れる適切な計算式はどれか。
ア | IF(論理積((A2+B2) ≧ 120, A2 ≧ 50, B2 ≧ 50) '合格', '不合格') |
イ | IF(論理積((A2+B2) ≧ 120, A2 ≧ 50, B2 ≧ 50) '不合格', '合格') |
ウ | IF(論理和((A2+B2) ≧ 120, A2 ≧ 50, B2 ≧ 50) '合格', '不合格') |
エ | IF(論理和((A2+B2) ≧ 120, A2 ≧ 50, B2 ≧ 50) '不合格', '合格') |
解説
論理積なのでAND関数を使用する。(論理和はOR関数)
表計算ソフトの関数や数学の知識がないと「合計点」を見て「論理和」を選択してしまう。
問題の選択肢を式にすると以下のようになる。
ア | =IF(AND(A2 + B2 >= 120, A2 >= 50, B2 >= 50), "合格", "不合格") |
イ | =IF(AND(A2 + B2 >= 120, A2 >= 50, B2 >= 50), "不合格", "合格") |
ウ | =IF(OR(A2 + B2 >= 120, A2 >= 50, B2 >= 50), "合格", "不合格") |
エ | =IF(OR(A2 + B2 >= 120, A2 >= 50, B2 >= 50), "不合格", "合格") |
上記の選択肢の中で「合計点が120点以上であり,かつ,2科目とも50点以上であればセル C2 に"合格",それ以外は"不合格"と表示する」のは…
答えは (クリックして確認)
ア IF(論理積((A2+B2) ≧ 120, A2 ≧ 50, B2 ≧ 50) '合格', '不合格')
ちなみに選択肢「ウ」も「合格」と表示されるが「かつ(AND)」ではなく「または(OR)」ので不正解。
平成30年秋期 問80
セル D2 と E2 に設定した2種類の税率で,商品Aと商品Bの税込み価格を計算する。セル D4 に入力する正しい計算式は $B4*(1.0+D$2) であるが,誤って $B4*(1.0+$D$2) と入力した。セル D4 に入力した計算式を,セル D5,E4 及び E5 に複写したとき,セル E5 に表示される数値はどれか。
ア 525 | イ 550 | ウ 630 | エ 660 |
解説
「D$2」と「$D$2」の違いが理解できていれば簡単な問題。
表計算ソフトの$は「位置固定」の意味があり、「D$2」ならDは相対参照になるためE5に複写すると「E$2」になる。
「$D$2」だとD2は絶対参照になるため、E5に複写しても参照するのはD2のまま。
誤って $B4*(1.0+$D$2) と入力した場合の式は「=$B4*(1+$D$2)」でE5に複写すると「=$B5*(1+$D$2)」となるので…
答えは (クリックして確認)
ウ 630
$記号が付いている問題はiパスでは頻出なので必ず覚えなければいけない。
平成30年春期 問60
支店ごとの月別の売上データを評価する。各月の各支店の"評価"欄に,該当支店の売上額がA~C支店の該当月の売上額の平均値を下回る場合に文字"×" を,平均値以上であれば文字"○"を表示したい。セル C3 に入力する式として,適切なものはどれか。ここで,セル C3 に入力した式は,セル D3,セル E3,セル C5~E5,セル C7~E7 に複写して利用するものとする。
ア | IF($C2<平均(C2:E2),'○','×') |
イ | IF($C2<平均(C2:E2),'×','○') |
ウ | IF(C2<平均($C2:$E2),'○','×') |
エ | IF(C2<平均($C2:$E2),'×','○') |
解説
セルC3にC2:E2を入れるとC4に複写した際にD2:F2になってしまうので$C2:$E2が正しい。
よって…
答えは (クリックして確認)
エ IF(C2<平均($C2:$E2),'×','○')
式にするとC3は「=IF(C2 < AVERAGE($C2:$E2), "×", "○")」
ウを選択する人が多そうだが「平均値以上」なので>=になっていないIF条件のウは間違い。
平成29年春期 問91
表計算ソフトを用いて,天気に応じた売行きを予測する。表は,予測する日の天気(晴れ,曇り,雨)の確率,商品ごとの天気別の売上予測額を記入したワークシートである。セル E4 に商品Aの当日の売上予測額を計算する式を入力し,それをセル E5~E6 に複写して使う。このとき,セル E4 に入力する適切な式はどれか。ここで,各商品の当日の売上予測額は,天気の確率と天気別の売上予測額の積を求めた後,合算した値とする。
ア | B2*B4+C2*C4+D2*D4 |
イ | B$2*B4+C$2*C4+D$2*D4 |
ウ | $B2*B$4+$C2*C$4+$D2*D$4 |
エ | $B$2*$B$4+$C$2*$C$4+$D$2*$D$4 |
解説
まず仮にアの式「=B2*B4+C2*C4+D2*D4」をE4に入れるとE5に複写すると「=B3*B5+C3*C5+D3*D5」となり式が3行目の商品名で計算してしまう。
B2がB3にならないようにするには「B$2」にすれば良いので…
答えは (クリックして確認)
イ B$2*B4+C$2*C4+D$2*D4
エの$B$2*$B$4は複写しても商品Aの売上しか参照されないので論外。
平成28年秋期 問82
セル B2~C8 に学生の成績が科目ごとに入力されている。セル D2 に計算式 "IF(B2≧50,'合格',IF(C2≧50,'合格','不合格'))" を入力し,それをセル D3~D8 に複写した。セル D2~D8 において"合格"と表示されたセルの数は幾つか。
ア 2 | イ 3 | ウ 4 | エ 5 |
解説
セルD2に入る式は「=IF(B2>=50, "合格", IF(C2>=50, "合格", "不合格"))」
まず「IF(B2≧50,'合格'」なので数学が50以上のものを数える。
次の条件式は「IF(C2≧50,'合格'」なので数学が50未満で英語が50以上のものを数えれば良いので…
答えは (クリックして確認)
エ 5
この問題の条件式だと数学0点、英語50点でも評価が合格になってしまうので実務ではありえない。
平成28年春期 問80
表計算ソフトを用いて,買い物金額に応じたポイント数を計算する。買い物金額が1,000円以下では買い物金額の1%,買い物金額が1,000円を超え3,000円以下では買い物金額の2%,買い物金額が3,000円を超える場合は買い物金額の3%のポイントを付与する。ワークシートのセル A2 に買い物金額が入力されるとき,ポイント数が表示されるセル B2 に入る数式はどれか。ここで,ポイント数の小数点以下は切捨てとする。
ア | IF(A2≧3000,整数部(A2*3/100),IF(A2≧1000,整数部(A2/100),整数部(A2*2/100))) |
イ | IF(A2>3000,整数部(A2*3/100),IF(A2>1000,整数部(A2/100),整数部(A2*2/100))) |
ウ | IF(A2≦1000,整数部(A2/100),IF(A2≦3000,整数部(A2*2/100),整数部(A2*3/100))) |
エ | IF(A2<1000,整数部(A2/100),IF(A2<3000,整数部(A2*2/100),整数部(A2*3/100))) |
解説
「整数部()」というのがわかりにくいが、「ポイント数の小数点以下は切捨てとする」から小数点を切り捨てるROUNDDOWN関数ということがわかる。
つまり、例えばアの式は以下のようになる。
=IF(A2>=3000, ROUNDDOWN(A2 * 3 / 100), IF(A2>=1000, ROUNDDOWN(A2 / 100), ROUNDDOWN(A2 * 2 / 100)))
アの式の条件はポイント数が100になるが、問題文はどの式だとポイント数が100になるかではない。
問題文を箇条書きにすると
- 1,000円以下では買い物金額の1%
- 1,000円を超え3,000円以下では買い物金額の2%
- 3,000円を超える場合は買い物金額の3%
となっており、この3つの条件を満たす式が正解なので…
答えは (クリックして確認)
ウ IF(A2≦1000,整数部(A2/100),IF(A2≦3000,整数部(A2*2/100),整数部(A2*3/100)))
式: =IF(A2<=1000, ROUNDDOWN(A2 / 100), IF(A2<=3000, ROUNDDOWN(A2 * 2 / 100), ROUNDDOWN(A2 * 3 / 100)))
切り捨てずに簡略化すれば
「=IF(A2<=1000, A2 * 0.01, IF(A2<=3000, A2 * 0.02, A2 * 0.03))」となり、1000以下で1%、3000以下で2%、それ以外(3000超え)で3%となっていることがすぐにわかる。
平成26年春期 問70
ワープロソフト,プレゼンテーションソフトで作成した文書やWebページに貼り付けて,表現力を向上させる画像データのことを何と呼ぶか。
ア | CSS |
イ | キャプチャ |
ウ | クリップアート |
エ | テンプレート |
解説
表計算ソフトでも使われる表現力を向上させる画像データは…
答えは (クリックして確認)
ウ クリップアート
Office 2010までだと挿入タブに「クリップアート」と表示されるので古いExcelを使ったことがあれば簡単な問題。
平成23年秋期 問69
セルB2~D100に学生の成績が科目ごとに入力されている。セルB102~D105に成績ごとの学生数を科目別に表示したい。セルB102に計算式を入力し,それをセルB102~D105に複写する。セルB102に入力する計算式はどれか。
ア | 条件付個数($B2~$B100,=$A102) |
イ | 条件付個数($B2~$B100,=A$102) |
ウ | 条件付個数(B$2~B$100,=$A102) |
エ | 条件付個数(B$2~B$100,=A$102) |
解説
条件付個数とはCOUNTIF関数のことで、Bが国語、Cが英語、Dが数学なので$B2だと複写してもB列のままなので$B2は選択肢からはずれることがわかる。
逆に成績は102行から105行にあるため、B102に入力する計算式は…
答えは (クリックして確認)
ウ 条件付個数(B$2~B$100,=$A102)
式は「=COUNTIF(B$2:B$100, $A102)」
平成23年特別 問73
表のセルA1~C2に値が入力されている。表の値をCSV形式で出力した結果はどれか。ここで,レコード間の区切りは改行コード"CR"を使用するものとする。
ア | 月, 1月, 2月 CR 売上高,500,600 CR |
イ | 月,売上高 CR 1月,500 CR 2月,600 CR |
ウ | 月/1月/2月 CR 売上高/500/600 CR |
エ | 月/ 売上高 CR 1月/50 CR 2月/600 CR |
解説
CSVはComma Separated Value つまり、カンマ(,)で区切った値という意味なので…
平成22年秋期 問61
表計算ソフトを用いて社員コード中のチェックディジットを検算する。社員コードは3けたの整数値で,最下位の1けたをチェックディジットとして利用しており,上位2けたの各けたの数を加算した値の1の位と同じ値が設定されている。セルB2に社員コードからチェックディジットを算出する計算式を入力し,セルB2をセルB3~B5に複写するとき,セルB2に入力する計算式のうち,適切なものはどれか。
ア | 10-整数部(A2/100)+剰余(整数部(A2/10),10) |
イ | 剰余(10- 整数部(A2/100)+整数部(A2/10),10) |
ウ | 剰余(整数部(A2/100)+剰余(整数部(A2/10),10),10) |
エ | 整数部((整数部(A2/100)+整数部(A2/10))/10) |
解説
整数部はROUNDDOWN関数、剰余はMOD関数なので、この2つがわからなければ意味が理解できないので回答不可。
例えばアの場合は式にすると以下のようになる。
=10 - ROUNDDOWN(A2/100) + MOD(ROUNDDOWN(A2/10), 10)
A2は370なのでアからエの式に値を入れると…
答えは (クリックして確認)
ウ 剰余(整数部(A2/100)+剰余(整数部(A2/10),10),10)
B2の式
=MOD(ROUNDDOWN(A2 / 100) + MOD(ROUNDDOWN(A2 / 10), 10), 10)
平成22年春期 問55
セルD2とE2に設定した 2種類の仮の消費税でセルA4とA5の商品の税込み価格を計算するために,セルD4に入れるべき計算式はどれか。ここで,セルD4に入力する計算式は,セルD5,E4及びE5に複写して使うものとする。
ア | B4*(1.0+D2) |
イ | B$4*(1.0+D$2) |
ウ | $B4*(1.0+D$2) |
エ | $B$4*(1.0+$D2) |
解説
税抜き価格がB4とB5にある時点で即答できる。
答えは (クリックして確認)
ウ $B4*(1.0+D$2)
式: =$B4 * (1 + D$2)
平成21年春期 問87
セルA1~A10に表のような数値が入力されており,セルB1~B10に計算式が入力されている。このときのセルB1~B10の計算結果とセルC1~C10の計算結果がそれぞれ同じ数値となるようにするために,最初にセルC10に計算式を入力し,次にセルC10をセルC1~C9に複写したい。セルC10に入力する計算式として,正しいものはどれか。
ア | 合計(A$1~A10) |
イ | 合計(A$1~A$10)-合計($A$1~A10) |
ウ | 合計(A$1~A$10)-合計($A$10~A10) |
エ | 合計(A$1~A$10)-合計($A$1~A10)+A10 |
解説
合計とはSUM関数のことなので「合計(A$1~A10)」は「=SUM(A$1:A10)」になる。
セルC10に「=SUM(A$1:A10)」が入るということはC1に複写すると「=SUM(A$1:A1)」になるので…
答えは (クリックして確認)
ア 合計(A$1~A10)
A1, B1, C1は同じ値になるのにア以外は-合計となっている点に気づけばすぐに解ける。